Business&Job
プロジェクトストーリー
『データドリブンプロジェクト』
Project Overview
プロジェクト概要
第8次中期経営計画における重点施策「データドリブン経営の実践」を推進するため、2024年に発足した本部横断型プロジェクト。行内や外部のオープンデータを活用して地域や産業の課題を分析し、新たな経営判断や地域活性化につなげる取り組み。スタートから2年が経過し、現在も最新のデータ分析手法の検討やAIの活用、さらにデータを活用できる人材の育成、データに基づく意思決定を当たり前の文化として定着させる取り組みが進んでいる。
Member
-
プロジェクトリーダー
鈴木 喜智
総合企画部
サステナブル戦略室
デジタル戦略グループ
経済学部 経済学科
2004年入行 -
山本 真裕
業務統轄部
事務企画グループ
法学部 法学科
2014年入行 -
戸田 和歩
人事部 人事グループ
理学部 第一部数学科
2014年入行 -
榎本 紘大
営業統轄部
営業企画グループ
文化情報学部 文化情報学科
2023年入行
Chapter 01
データで、銀行の未来を変える。
2024年4月〜2029年3月の5年間における滋賀銀行の成長戦略「第8次中期経営計画」。その重点施策として掲げられていた「データドリブン経営の実践」を具体的に進めるため、2024年4月、滋賀銀行内に『データドリブンプロジェクト』が発足し、組織横断的に各部署から人材が集められた。
世の中全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やデータサイエンスを経営に取り入れ、活用する動きが加速するなか、金融機関を取り巻く環境も大きく変化していた。顧客ニーズの多様化や市場環境の変化が進み、従来の経験則だけでは十分な意思決定が難しい時代を迎えていたのである。
こうした時代の変化を背景にスタートした『データドリブンプロジェクト』。集まったメンバーたちは、行内のデータ利活用の推進と、新たな経営基盤の構築という前例の少ない挑戦に踏み出した。これは、その挑戦の軌跡を追った物語である。
Chapter 02
異なる専門性を持つメンバーが集結。
データドリブン経営への第一歩。
滋賀銀行は2020年、「DXに向けた取り組みを加速させる」ことを対外的に発表。以来、本部各部門や支店において業務改革やデジタル活用を進め、DX推進に取り組んできた。
そうした流れをさらに発展させる形で、2024年4月、中期経営計画の重点施策の一つとして『データドリブンプロジェクト』が発足。データに基づく客観的な分析を意思決定に活用し、より迅速かつ高度な業務運営を実現することがその目的である。
プロジェクトには、総合企画部、経営管理部、業務統轄部、システム部など、本部のさまざまな部署からメンバーが集められた。異なる専門性や経験を持つメンバーたちに共通していたのは、「データの力で滋賀銀行の未来を切り拓きたい。お客さまや地域を支えたい。」という想いだった。
初期メンバーの一人である鈴木は、過去には、経営管理部に所属。各種データに基づくリスク分析業務に携わってきた。
「もともと滋賀銀行では、各部門でデータ収集やデータに基づく戦略立案が行われていました。その知見を結集し、経営課題や地域課題の解決に活用していくというプロジェクトの趣旨には大きく共感しました。特に、何十年にもわたり蓄積されてきたデータを、今後どのように組織全体で活用していくのかという課題意識もありましたから。難しい挑戦ではありますが、滋賀銀行の今後を考えると、今こそ取り組むべきテーマだと感じましたね」。
また、業務統轄部から参加した山本は、当時をこう振り返る。
「当初は、お客さまと接する機会の多いユーザー部門の立場からプロジェクトに参加していました。ただ、私自身、データサイエンスやシステムに関する高度な知識があったわけではありません。まずは手探りで、どのようなデータを分析し、どのように経営や業務の判断材料として活用していくのかを考えながら、毎週のミーティングに参加していました。そのなかで意識していたのは、専門技術に詳しくない自分だからこそ、“現場の行員”と“データ活用”をつなぐ橋渡し役でありたいというブレない想いです」。
こうして、部門も経験も異なる10数人のメンバーが集まり、『データドリブンプロジェクト』は始動。しかし、データドリブン経営の実現に向けた道筋はまだ見えていなかった。何を優先し、どこから着手すべきなのか。プロジェクトは早くも最初の課題と向き合うことになる。
Chapter 03
試行錯誤のなかで見え始めた道筋。
新戦力の加入により、活動が加速。
プロジェクトは、各メンバーが所属部署での通常業務を担いながら並行して進められた。各現場にどのようなデータがあるのか、その利活用にどのような課題があるのかを洗い出し、それぞれがテーマを持ってデータ分析を実施。その有用性や可能性を探っていったのである。
所属部署や業務内容、年齢や経験も異なるメンバーが集うプロジェクトだっただけに、当初はチーム運営にぎこちなさもあった。しかし、その多様性は同時に大きな強みでもあった。さまざまな視点や知見が持ち寄られたことで議論は活発になり、試行錯誤を重ねながら、プロジェクトの方向性も徐々に定まり始めていった。
鈴木は当時を振り返り、「いろいろなバックグラウンドを持つ人が集まっていることは、多角的な視点が求められるデータ分析において、むしろ強みになると考えていました。その強みをどう活かしていくかが重要だと感じていました」と語る。
山本も「最初に共通のテーマを決める段階では意見もさまざまで、認識を統一することにはかなり苦労しました。それでも、お互いの立場や課題意識を理解しながら議論を重ねることで、少しずつ前へ進むことができました」と振り返る。
こうしてプロジェクト発足から約1年。地道な活動の積み重ねによって、データ活用の可能性と組織として取り組むべき方向性が少しずつ見え始めていた。
そんななか、発足当初から中心的な役割を担ってきた鈴木が総合企画部サステナブル戦略室へ異動。他のメンバーも異動による入れ替わりがあり、チームは新たな局面を迎える。
転機となったのは2025年だった。外部コンサルティング会社との連携により活動は大きく加速し、鈴木や山本ら初期メンバーが積み重ねてきた議論や分析を土台として、その夏には「県内の経済データを分析し、地域経済の活性化につながる施策へ活かす」という具体的なテーマが定まったのである。
同じ頃、新たなメンバーとして戸田と榎本が加わる。戸田はシステム企画やデジタル推進の経験に加え、中小企業大学校への派遣から経営戦略の知見を培ってきた。一方の榎本はプログラミングや統計学、データ分析を大学で学んでおり、その専門知識とスキルを強みとしていた。
初期メンバーたちが築いた土台と想いを受け継ぎ、新たな担い手として加わった二人。プロジェクトは、いよいよ地域経済の活性化につながる具体的な成果創出に向け、次のフェーズへと歩みを進めていく。
Chapter 04
新たな仲間とともに、
本格フェーズへ。
地域課題に向き合う挑戦が始まる。
2025年夏、プロジェクトは「県内の経済データを分析し、地域経済の活性化につながる施策へ活かす」という共通テーマのもと、本格的な活動フェーズへと移行した。戸田と榎本という新たなメンバーも加わり、それぞれの強みを活かしながら取り組みを前進させていった。
戸田が担ったのは、データ分析の結果を経営や事業戦略にどう結び付けるかを考える役割だった。
「本プロジェクトのゴールである、蓄積されたデータを分析し、滋賀銀行自身の経営判断や営業戦略の高度化につなげること。そして地域や産業の実態を客観的に把握し、お客さまへの提案力向上や地域経済の発展につなげるというミッションは、とても魅力的でした」。参加当初は、その責任の大きさに戸惑うこともあったが、滋賀銀行の未来にも関わるテーマだからこそ、次第に強い当事者意識を持つようになっていったという。
榎本は、営業統轄部の立場から「分析して終わらせないこと」を強く意識していた。「滋賀県の産業分析では、地域経済の強みや課題をデータから明らかにし、地域企業への支援や地域活性化につながる示唆を得ることに挑戦しました。また若年層のお客さまとの接点づくりに関するテーマでは、口座開設数の推移を見える化するだけでなく、どうすれば長く当行を利用していただけるのかという視点で分析を行いました」。
プロジェクトが目指したのは、分析結果をレポートとしてまとめることではない。その結果を経営や営業活動に活かし、具体的な行動や価値創出につなげることだった。そのため山本は、産業分析におけるデータ収集・分析に加え、データ活用を組織全体へ広げる役割にも力を注いだ。支店向けのダッシュボードの構築、データを扱える人材を増やすための教育、さらにはAIの業務活用の検討などにも取り組んだのである。そこには、「データに基づく意思決定を当たり前の文化として滋賀銀行内に根付かせたい。将来的には、すべての企画や意思決定にデータという根拠を軸にする組織づくりに貢献したい」という山本の強い想いがあった。
こうして第二フェーズに入ったプロジェクトでは、チームメンバーが一丸となって共通テーマに向き合いながら、それぞれが自らの役割と専門性を発揮していった。また、異動後も鈴木は戸田や榎本の良き相談役としてプロジェクトを支え続けた。悩みを聞き、ときには息抜きとなる雑談を交わしながら、初期メンバーとして育んできた想いを次の世代へつないでいったのである。
Chapter 05
もたらされた新しい経営の形と人の成長。
プロジェクトは、次のステージへ。
プロジェクト発足から約2年。メンバーたちの試行錯誤と挑戦の積み重ねによって、滋賀銀行には少しずつ変化が生まれつつある。
行内に蓄積されてきた企業情報や入出金データと、滋賀県の経済データ、産業データ、人口動態データなどの外部データを組み合わせて分析することで、地域経済の実態を産業構造と経済動向の両面から把握できる環境が整いつつあるのだ。変化のスピードが増し、将来の見通しが難しくなる時代において、これは滋賀銀行にとって大きな価値を持つ新たな強みとなる可能性を秘めている。
こうした成果を踏まえ、滋賀銀行では『データドリブンプロジェクト』をさらに推進していく方針を定めている。2026年夏からは、鈴木が復帰して新たにプロジェクトリーダーを務め、次のステージへと歩みを進めようとしている。
鈴木は今後について、「データの利活用をはじめ、AI活用は今後ますます重要性が高まっていきます。滋賀銀行が目指すデータドリブン経営の実践においても重要な要素であり、私自身の使命は、プロジェクトをさらに前進させることはもちろん、プロジェクトチームそのものも進化させ続けることだと考えています」 と語る。
また、山本は 「現時点で成果は道半ばですが、この2年間の取り組みやデータ活用人材の育成を通じて、経営層や役職者だけでなく、一般行員にも『データを活用して判断する』という考え方が浸透し始めています。今後は、この考え方を文化として定着させていきたいですね」 と、この2年間を振り返りながら未来への手応えを感じている。
プロジェクトへの参加は、新たなメンバーたち自身の成長にもつながっていた。戸田は、「データを活用することで、地域や産業の実態を客観的に把握できるようになりました。その結果、お客さまの課題や成長可能性をより深く理解し、実態に即した提案や支援につなげられると実感しています」 と語る。
また、最年少メンバーの榎本も、「営業、企画、システムなど、異なる専門性を持つメンバーと協働するなかで、自分の考えを分かりやすく伝える力や、多角的な視点で物事を捉える力が養われました。この経験で得た力はプロジェクト内だけでなく、日々の業務やお客さま支援にも活かせると感じています」 と、自身の成長を実感している。
『データドリブンプロジェクト』は、滋賀銀行の新たな経営のあり方を創造するための挑戦である。しかし、その過程では、そこに関わるメンバー一人ひとりが新たな知見を得て、次の時代を担う人材への変化をもたらした。組織を変える挑戦が、人を育てる契機ともなった本プロジェクト。その歩みは、これからも次のステージへ向けて続いていく。
